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ほっしーだよ!! このたび,私たちは屋久島に行ってきました! その内容を物語風にして屋久島を紹介したいと思います! 主人公は素直になれない10歳の女の子,亜美ちゃんです。 みなさん楽しんでくださいネ。 では,始まり始まり〜!!!(2006.11.24取材)

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白谷雲水峡
「わあ!」
白谷雲水峡という場所に着いた私たちはバスを降りた。
屋久島はあいにくの雨。
『こんな日に山を登るの?』
と思ったけど,
「恵の雨ですね。今日はいつも以上に良い景色が見れると思いますよ。」
と東さんが言った。

東さんは私たちに屋久島を案内してくれるガイドさんだ。
屋久島で生まれて,一時東京で働いたが,また屋久島に戻ってこの仕事を始めたという。
『恵の雨なんて,私たちが怪我でもしたら悪の雨だわ!』

空港からバスに揺られながら1時間ほど山を登り,やっとここに着いた。
今にもバスが落ちそうなくらいの細い道だった。
『早く道を広げなきゃ!』
と思ったら,トラックがたくさん工事をしていた。
こんなところで落ちるわけにはいかないもの。ちょっと安心した。

「すごい滝!水が白いわ〜!!」
お母さんが大興奮している。
バスを降りた私たちを迎えてくれたのは,ものすごい音をたてて流れる滝だった。
「これは滝ではなくて,川なんですよ。」
と東さんが言う。
『これが滝じゃないって・・・。有り得ない。』
「最初からこんなにすごい川を見れるなら,山の中はどうなってるんだろうね?わくわくしてきたぞ〜,お父さんは!」
お父さんは夢中になってカッパを着ている。
お父さんは気合バッチシで,飛行機に乗るときから山登りの格好をしていた。
「恥ずかしいからやめてよ!」
と言っても,
「そうかそうか〜亜美もお父さんと同じ格好をしたいのか〜」
と変なことばかり言うので,私はお父さんからだいぶ離れて歩いた。
「早く行こうよ〜!」
さっきから早く山の中に入りたいと言っている弟の建哉がだだをこねている。
今日は家族と一緒に屋久島に旅行に来た。
私はディズニーランドに行きたかったのに,
「僕屋久島に行きたい!」
「私はディズニーランドが良い!何で屋久島なのよ!?」
「屋久島は自然のすばらしさが認められて,1993年に日本で初めて世界遺産に登録された島なんです!」
と健哉がやけに屋久島について調べていて,屋久島に決まってしまった。
でも,そのわりには来る途中にはキレイな道路もあったし,普通の街だった。
私がまだ納得行っていないのにはこういう理由もあった。
『全然私の住んでるところと変わらないじゃない・・。』
「さぁ!登りますよ。足元に注意して下さいね。」
私たちはもののけ姫の舞台にもなったもののけ姫の森を目指して出発した。

「ザザザーッ。」
カッパの外から,水の音が聞こえる。
足元に注意と言われたけれど,階段も出来て,きれいに舗装されていた。
『余裕じゃん?』
そう思いながら歩いていると,いきなり東さんが立ち止まった。
「ここからはちょっと難しいですよ。」
『難しい?』
私は上を見上げた。

目の前には大きな岩が立ち塞がっていた。まるで私たちの侵入を防ぐように。
「うほ〜!!すごい岩だな〜」
「お父さん!どっちが早く登れるか僕と競争しよう!」
「いいぞ〜。よーい,ドンっ!」
私は怖くて震えているのに,お父さんと健哉はどんどん登って行く。
置いていかれるのはもっと怖い。
「お姉ちゃ〜ん,早く〜!!」
健哉はとっくに頂上に着いていた。
「健哉早すぎるぞ〜!お父さんもう年寄りなんだからなぁ〜。」
お父さんは息を切らして健哉の後を追いかけている。
「亜美,行くわよ。」
「・・・。」
お母さんと一緒に,この巨大な岩から芽を出している植物につかみながら意を決して登った。
『岩から植物?』
私がこの植物を見つめていると,
「この植物は,川に流されないように葉の形を変えたんですよ。」
と東さんが言ってきた。
「自分たちが生きて行けるように,姿を変えていくんだね!?」
いつの間にか健哉がそばに近寄っていた。
「そうですよ。他にもこれを見てください。」
東さんのが3枚の葉っぱを拾った。
「この木の葉は,太陽の光が当たるように,葉の形がそれぞれ違うんですよ。」
「じゃあ,この3枚とも同じ木の葉っぱなの?」
「そうですよ。」
「すごいね!植物って!」
健哉はすっかり東さんと仲良くなったみたいで,東さんにくっついては質問している。
『植物たちは,自分たちが生きて行けるように,精一杯の努力をしているんだ。』

私は少し上を向いて歩いてみた。そこにはさっきまでは見えなかった,全く違う光景が広がっていた。
雨にぬれ,輝きを増した緑のコケ,植物たちが自分たちの生活を営んでいる。
そこに私たちが通ることを許された唯一の道が細々と続いていた。
見上げても見上げてもてっぺんの見えない大きな木が,何本も私をじっと見下ろしている。

何も言えずに,もくもくと進んで行くと,目的地のもののけの森に着いた。
「わぁ・・・!!」
私は思わず叫んだ。
「お姉ちゃん!何か声がするよ!」
私はカッパの帽子を脱いだ。
すると,何の音だか分からない,不思議な音が聞こえてきた。
雨の音に混じって,かすかだけれど,力強い,たくさんの音が調和して一つの音を作っている,そんな音。
そして見渡す限りの緑。大きな切り株がずっしりと身を構えている。
「僕こんな大きな切り株,初めて見た!」
「この森の主だぞ〜!!」
周りには木の枝が伸び,私たちから主に近づけまいと,行く手を阻んでいた。
健哉達は切り株に抱きついていたが,私はその切り株に近づくことは出来なかった。

私は黙ったまま,ゆっくりと引き返した。
帰り道は,行きとは違ったものに目が行くようになった。
人間のために取り付けられたロープ,階段,道,人間が歩いたために踏み潰された植物。
東さんが河原の方を指差して言った。
「ここはコケ河原という場所です。」
「コケ生えてないよ〜。」
健哉の言うとおり,その名前のわりにはコケが全く見当たらない。
「昔は名前の通り,コケがたくさん生えていました。しかし,その河原を観光客に近くで見てもらうため階段を作ったところ,コケが全く生えなくなってしまったんです。」
『私たちのために,死んでしまった植物があったんだ・・・。ごめんなさい・・。』

ほんの短い間に,私たちのわがままで,この自然は壊れそうになっている。
けれどこの自然は,例え壊れたとしても,再び自分たちの世界を作っていくと思うほど,力強い生命力を感じた。 もしかすると,この屋久島の自然にとっては,人間が自分たちのすみかへと入ってくることもそうたいしたことではないのかもしれない。
自然たちは,もっと過酷な試練をたくさん乗り越えてきたのだから。
その自信が,自然の何か冷たい視線と共に自然の世界から伝わってきた。

旧処分場
「すごかったな〜!!」
「うん!僕こだまの声が聞こえたよ!」
「えっ?お父さんは聞こえなかったよ!何でかな〜??」
私たちは白谷雲水峡を離れ,バスの中で昼食を食べた。
お父さんたちは相当感動したようで,キャピキャピ騒いでる。
「次は旧処分場に向かいます。」

「ねえ!お姉ちゃん!この空き缶ちょうだい!」
私のジュースの空き缶を健哉が欲しいと言ってきた。
別に捨てるつもりだし,私は全部飲みほしてから健哉に上げた。
「ありがとう!」

『旧処分場・・。』
あの大自然を見て,私はもうどこにも行きたくなかった。
『何で旧処分場になんか行かないといけないの?』

「着きましたよ。」
バスが到着しても私は降りたくなかった。
「お母さん,私バスの中で寝てても良い?」
「見て欲しいんだ。」
東さんが言った。
「・・はい。」
私は仕方なくバスを降りた。

タイヤのないトラック,まだ使えそうな冷蔵庫があちこちに横たわり,大きな煙突が立っていた。
そして,煙突の後ろの世界を見たとたん,私の足は止まってしまった。
見渡す限りのゴミの山。
もう積むところもないほど,ゴミが辺り一面に積まれていた。
「法律でゴミを燃やすことができなくなり,ここに置くようになったんです。」
「このゴミいつなくる?」
健哉が聞いた。
「分かりません…。」
このゴミはどこから出るのだろう?
いったいどこから…?
健哉は,お父さんの服のすそをぎゅっと握り締めていた。
「帰ろうか。」
辺りは暗くなり,私たちはバスに戻った。

バスの中で私は困惑していた。 あの大自然を見たあと,あのゴミの山。
「お姉ちゃん!はい!プレゼント!」
健哉が何かよく分からないものを私に渡した。
お弁当の入っていた袋と,割り箸が空き缶に突き刺さっている。
私がさっき上げた空き缶だった。
「これ何?」
「屋久杉だよ。これを作っただけで,あのゴミの山がもう大きくならないよ!」
健哉の言葉にはっとした。
あのゴミを出していたのは,私たち観光客でもあったんだ。
私たちが来ることによって,ゴミは増える。
白谷雲水峡でも,自然が死んでしまっていた。
「・・・ありがとう。大切にするね。」
「うん!」

「グーグー」
お父さんのいびきが聞こえている。みんな帰りのバスでぐっすり眠っている。
「どうだった?」
東さんが聞いてきた。
「・・。私,来ないほうが良かったのかな?」
「どうして?」
「私たちが来ると,自然がどんどん壊れて行ってる。私のせいで・・。屋久島のあの木たちが悲しむのはいやだよ・・。」
「そうかな?亜美ちゃんが,今そう思ってくれて,自然たちはとっても喜んでるんじゃないかな?それにね,亜美ちゃんたちが来てくれるから,私たちも今の生活が出来ているっていうのも本当の話だよ。私たちは,亜美ちゃんたち観光客と,自然の両方を守っていかなくちゃいけないんだ。すごく難しいことなんだけどね・・。でも,亜美ちゃんが今のその気持ちを忘れないでいてくれたら,そんなに難しいことじゃないかもしれない。」

「ぶぶぶ。」
バスが止まった。外には飛行機が見える。

「ありがとうございました!」
「はい!プレゼント!」
健哉は東さんにも“屋久杉”を上げていた。 『あんなに作ったんだ。』
「亜美ちゃん。これ,上げる。」
「えっ?」
それは,お箸だった。屋久杉という印鑑がついている。
「これは屋久杉から作ったお箸だよ。使ってね。亜美ちゃん,今日はありがとう。また来てね!」
「うん!」

その後
あれから私はずっとあのお箸を使っている。
割り箸を使ったのは,健哉がくれたあの割り箸が最後だ。
私がこの箸を使うたびに,あの私を冷たい目で見下ろしていた木たちが少しずつ笑ってくれるのではないかと感じるから。
そして,あのときの思いを思い出すから。
「いいな〜お父さんも欲しいなそのお箸。」
「本当に!うらやましいわ!」
「お姉ちゃん,また行こうね!」
「うん!もちろんだよ!」
今度は胸を張ってあの大自然に会いに行く。